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1985年発行 監修： #千宗左 定価25000円 #表千家同門会 全488ページ 状態：中古 概ね良好 大形本 宅急便 80サイズ ■本書序文「惺斎の時代と好みもの」■ 近代のはじめ、明治維新をむかえた茶道世界は、きびしい試練に立たされていた。 幕末文久三年、碌々斎の長男として出生した惺斎は、その若年時、父と共に茶道衰退の時期をすごした。 千家の茶道具を調進する職家の家々においても、今日からは想像を超える苦難の時代を経験した。 碌々斎が一行ものの染筆を各職家に配り、江戸時代を通じて明治に至るまで家々に 茶具制作の特技を継承してきたことをたたえ、苦難の時代に家業を守る職家の人々をはげますこともあった。 かくて維新後のほぼ三十年にわたり、苦難の時期にも利休以来の茶道の古格を守り、 職家の家々の存続を保つのに、碌々斎と惺斎の父子協力による功は大であった。 明治二十五年家元十二代を襲名した惺斎は、次第に活況に向かいつつある茶道界を背景に、 主として数奇者の所望にこたえることによって好み物の数も増加していった。 惺斎好みはひめられた豪華さがある。 その好みは古来の道具の寸法をはなれず、はなやかさを直接現わすものではない。 外は黒塗や溜ぬりとし、内に華麗な蒔絵を盛るといった具合である。 また二重棚の例にみる通り、伝来形のままに色を変えるとか、 些少の意匠を加えても、本来の姿を崩すことはなかった。 こうした利休形の寸法と姿を基底に持ちながら、時代のもとめを綜合する惺斎好みは、 明治の変革と苦難の時代にも耐え、利休以来の古格を保持してきた惺斎の茶の湯の心の表現にほかならない。 およそ好み物の出現するについては、利休以来の家元代々の趣向と 職家の協力による重厚な歴史的背景をもつことが知られよう。 このたび惺斎五十回忌を迎えるにあたって、惺斎好みの総てを結集することとしたが、 その好みとされる総数があまりにも多いため、ここには職家がた、 いわゆる十職の方々による好み物に限ることとなった。 惺斎好みを通じて、茶の心持の源をさぐり、新しい茶の美のあり方を学ぶなど、 いよいよ茶の湯の楽しみを深くして頂きたいと思う。 #釜 #風炉 #炭道具 #棚 #茶器 #共箱 #茶碗 #茶杓 #干菓子器 #食籠 #服紗 #花押